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September 14, 2013

チベット・アムド旅行2013年夏(タンコル)

ゾルゲでガワ(アバ)行きのバスに乗って2時間弱走るとやがて大きな馬のモニュメントとガソリンスタンドが見えてきた。他には小さなお店だけポツンとあるだけの分岐点。そこでバスを降りた。

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ここからタンコルの町の中心まで約3km。だがバスを降りたのは自分1人だけでここには誰もいない、タクシーももちろんいないので仕方ないと町まで歩き始めた。

今回、なぜチベットのこんな片田舎のタンコルという町に行こうとしたか?その目的は、日本に住んでいるチベット人の知り合いが遊牧民をしていて宿泊させてもらえる事になっていたからだ。
今までに遊牧民のテントに遊びに行ったことはあったが、泊まって1日の生活を体験したいと以前から思っていたのと、最近の中国政府による遊牧民の定住化政策で遊牧民が減っているという話を聞いていたのでこのチャンスを逃すと後は無いかもしれないと思っていたからである。

そしてまず目指すのはその友人であるタシ(仮名)のお店だった。彼がその仲介をしてくれる事になっていたので彼のお店に行かなければ遊牧民のテントにはたどりつけないのである。

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分岐点からしばらく行くと左手に大きな川、右手には同じような新築の白い家がたくさん建っていたが、どれもまだ人が住んでいない様子だった。「これは政府主導の遊牧民の定住化政策のための家だろうな」と思いながら道を進んでいると、後ろから来た車のドライバーに声をかけられた。

『どこまで行くんだ?』
 
タシのお店の名前を告げると『知り合いだから乗せて行ってやるよ!』という申し出だったが、交通機関の乏しいチベットではよくある事だし、町へ向かう一本道だったので断る理由も無く、お言葉に甘えることにして車に乗り込んだ。
 
しばらく走るとやがてタンコルの町が見えてきてお店に到着・・・と思ったらシャッターが閉まっているので隣の店主に聞くとまだ来ていないらしい。そこでドライバーが電話をかけて聞いてくれた所、どうやらまだ寝ていたらしく家まで送ってくれる事になった。これは非常にありがたい。歩いて来てたら途方に暮れていたところである。
 
家はすぐ裏手にあり車ですぐに着いた。平屋だがけっこう広そうな家の前にはチベットではよく見る赤いホンダのバイクが一台止まっている。
 
タシに早速話を聞くと、普段ならお店を開けている時間だけど、前日に100KMほど離れた町にバイクで行った帰りにバイクが壊れてしまって帰るのが遅くなったらしい。ではなぜそんな町まで行ったかと言うと現在、四川省アバ県内はすべて国際電話もインターネットも政府の規制で使えない状態にあるので海外と連絡を取るために隣の県まで行く必要があったのである。
 
この情報は事前にある程度は知っていた。ここ数年続いている中国政府への抗議行動によるチベット人の”焼身自殺”がアバ県に特に集中しているため、安易に写真やビデオを海外に流出させたくない中国政府が、海外とコミュニケーションを取らせないための規制である。そういえばゾルゲの町でもインターネットカフェを一軒も見なかった事に気がついた。

しかしそんな状況でもなぜかスマホの普及率はすごい。これは成都にいた時にも思ったけど、iPhone、GALAXY-S4、HTC ONE等最新機種をみんなが持っている。日本と中国の収入の差から言うと日本なら50-60万円ぐらいの価値があると思うけどみんな借金して買っているんだろうか?
 
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時間もあったので早速町を歩いてみたがゾルゲに比べたらのどかな感じはするものの、どの建物も新しくて看板のデザインも統一されている。どうやらここ数年で観光客の誘致のために一気に町を作り上げたようだった。ただゾルゲのような大きな町に比べたら、まだ人の割合はチベット人の方が多数派のように見える。

町のはずれまでやって来るとまた新しい住宅街があり、遠くに金色の屋根が乗ったお寺、ソクツァン・ゴンパが見えて来た。タンコルの町には特に見るものもなかったのでこのお寺ぐらいしか観光出来そうな所はないだろうなと思っていたら、後日その日がやってきた。
 
その日は、昼からタシのバイクに乗せてもらってこのソクツァン・ゴンパに連れて行ってもらった。
長い一本道を2人乗りのバイクでトコトコ走る。昔だったら馬だろうが最近のチベット人の足はもっぱらバイク中心。特徴は小さな絨毯がシートに乗せてあること。これって馬の鞍の感覚なんだろうなあ。

走っていると途中に検問所はあったが特に機能はしていなかったので、面倒くさい事にならないと一安心。しかしタシはお寺を通りすぎて少し離れた所にバイクを止めた。そして、お寺を見下ろすことの出来る丘を登り始めた。とりあえず遠くから眺めてからお寺に行くんだろうか?と思っていたらおもむろに話を始めた。

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『7月にこのお寺で焼身自殺があったので今は中に入らない方がいい。中に私服警官がいて外国人が行くと色々聞かれるから面倒だ!』

7月にアバで焼身自殺があった事は知っていたけど、まさかこのお寺での出来事だったとは知らなかった。後日調べてみたらこれを書いている9月中現在、120人目でチベット本土では最後の焼身自殺者である僧侶のクンチョク・ソナム(18歳)の事だった。

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チベットのニュースを発信しているブログ、チベットNOW@ルンタによると知り合い数人が、当局による不当逮捕で行方不明になっている事が原因の1つと考えられているらしい。また彼の自殺により周りの人達も連行され行方不明になっているようだが、結局こういう事によりまた負の連鎖が続くことに当局は気がつかないのだろうか?
 
確かにチベットの町は大きく、新しくなり、成都あたりから車に乗ってやってくる中国人観光客がお金を落としてくれて、チベット人にとっても生活は若干豊かになって来たように見える。一方、宗教、教育、環境等によるチベット人への締め付けは増々ひどくなる事から、苦しみぬいて行う抗議の焼身自殺は後を絶たない。
 
これまでにチベットでの焼身自殺に関してはインターネット上のニュースで写真や映像を見るぐらいしか無く、大変な事が起きている事はわかっているものの実感としてはあまり無かった。しかし実際に自分の目の前にあるのどかなお寺で1ケ月ほど前にそんな事があったという事実に直面してみると、悲しみとやるせなさだけしか無く、とにかく遠くから手を合わせて冥福を祈ることしか自分には出来なかった・・・。
 
チベットNOW@ルンタ

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